【2026年最新】飲食店が弁当販売を始めるには?

必要な許可・5つのステップ・成功のコツを徹底解説

「飲食店の売上をもう一本増やしたい」「店内営業だけでなく弁当販売にも挑戦したい」

このように考えている飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか。

弁当販売は、すでにある厨房・調理技術・人気メニュー・店舗ブランドを活かしながら、新しい販売チャネルをつくれる方法のひとつです。

店頭テイクアウトだけでなく、予約販売、企業向け弁当、イベント用弁当、デリバリーなど、店舗の立地や客層に合わせてさまざまな展開が考えられます。

ただし、「飲食店営業の許可を持っているから、そのまま何でも弁当にして販売できる」とは限りません。 取り扱う食品や調理方法、販売方法、販売場所などによって、必要な営業許可・届出や食品表示への対応が変わる場合があります。

先に結論|弁当販売は「許可確認→商品設計→原価計算→衛生管理→販売」の順番で進める

飲食店が弁当販売を始めるときは、いきなり大量の容器を購入したり、メニューを何十種類も作ったりする必要はありません。

まずは管轄する保健所へ営業形態を説明し、現在の営業許可で対応できるかを確認したうえで、ターゲットと商品を絞って小さくスタートすることが重要です。

この記事でわかること
  • 飲食店が弁当販売を始めるメリット
  • 弁当販売で営業許可・届出を確認すべき理由
  • 店頭販売・宅配・外部販売の違い
  • 売れる弁当のターゲット設定
  • 弁当に向いているメニューの考え方
  • 弁当販売で失敗しやすいポイント
  • 原価・食品表示・衛生管理の考え方

⚠️ 重要:営業許可・届出は自己判断せず保健所へ確認してください

必要な営業許可や届出は、現在取得している許可、調理する食品、調理場所、販売場所、販売方法、卸売の有無などによって異なることがあります。

この記事では2026年8月時点で確認できる公的情報をもとに解説していますが、実際に弁当販売を始める際は、必ず店舗所在地を管轄する保健所へ事前に相談してください。

飲食店が弁当販売を始めるメリットとは?

弁当販売というと、「店内営業とは別に大きな設備投資が必要なのでは?」と考える方もいるでしょう。

しかし、すでに飲食店を営業している場合、既存の厨房設備や調理技術、仕入れルート、スタッフ、人気メニューなどを活用できるケースがあります。

もちろん弁当専用の容器や包装資材、ラベル、保冷設備などが必要になる場合はありますが、ゼロから飲食店を開業するのとは状況が異なります。

店内営業以外の売上をつくれる

弁当販売の大きなメリットは、店内の客席数に左右されにくい売上をつくれることです。

通常の飲食店では、ランチタイムやディナータイムに満席になれば、それ以上のお客様を受け入れるのが難しくなります。

一方、弁当であれば店内で食事をする必要がないため、店頭受け取りや事前予約、宅配などを組み合わせることで、客席以外からの売上を作れる可能性があります。

たとえば、こんな需要が考えられます。
  • 近隣企業で働く会社員のランチ
  • 在宅勤務中の昼食
  • 会議・研修用の法人弁当
  • スポーツ大会や地域イベント
  • 家事負担を減らしたい家庭
  • 店舗へ来店できない顧客へのデリバリー

既存の人気メニューを活用できる

すでに店舗で人気の商品があるなら、その強みを弁当へ活かせる場合があります。

たとえば唐揚げが人気の居酒屋なら「唐揚げ弁当」、焼肉店なら「焼肉弁当」、洋食店なら「ハンバーグ弁当」のように、店の看板メニューを弁当の主役にする考え方です。

新規にまったく別の商品を開発するより、既存メニューをベースにした方が、仕入れの共通化や調理オペレーションの簡素化につなげやすくなります。

店舗を知ってもらうきっかけになる

弁当は売上そのものだけではなく、店舗の存在を知ってもらう入口としても利用できます。

たとえば、近隣企業の会議用弁当として初めて料理を食べた人が、「今度は家族と店へ行ってみよう」と考えるかもしれません。

反対に、普段から店舗を利用しているお客様が「今日は家で食べたい」という日にテイクアウトを利用するケースもあります。

このように、店内飲食・テイクアウト・弁当・デリバリーを別々の商売として考えるのではなく、相互に送客できる販売チャネルとして設計することがポイントです。

【最重要】飲食店が弁当販売を始めるには営業許可が必要?

弁当販売を検討している飲食店経営者が最初に確認したいのが、営業許可・営業届出です。

2021年6月から、改正食品衛生法に基づく新しい営業許可制度・営業届出制度が施行されています。

厚生労働省では、営業許可が必要な業種の見直しと営業届出制度を案内しており、営業許可申請や営業届出には「食品衛生申請等システム」を利用できる仕組みも整備しています。

公的根拠

厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
▶ 厚生労働省の公式ページを確認する

すでに飲食店営業許可を持っている店舗の場合

すでに飲食店営業の許可を取得している店舗が、その店舗内で弁当やそうざいを調理し、テイクアウトや宅配を始める場合、新たな許可が不要となるケースがあります。

京都府は、すでに飲食店の営業許可を取得している店舗で弁当やそうざいを調理し、テイクアウトや宅配を行う場合について、新たな許可は必要ないと案内しています。

ただし同時に、取り扱う食品や販売方法によっては新たな許可が必要となる場合があるため、最寄りの保健所へ問い合わせるよう求めています。

販売方法が変わると必要な手続きが変わることがある

ここで注意したいのが、「店頭で自分がお客様へ渡す弁当」と「別の販売店へ卸して販売してもらう弁当」を同じように考えないことです。

京都府丹後保健所の案内では、製造者自身が販売するのではなく、販売店へ弁当販売を依頼する場合には、包装容器への表示が必要になると案内されています。

さらに、取り扱う食品や営業形態によっては、飲食店営業とは別の営業許可が関係する可能性もあります。

弁当販売を始める前に保健所へ伝えておきたいこと

  • 現在取得している営業許可
  • どこで調理するのか
  • どのような弁当を作るのか
  • 店頭で直接販売するのか
  • 宅配するのか
  • イベントなど別の場所で販売するのか
  • スーパー・直売所などへ卸す予定があるのか
  • 1日にどの程度製造する予定なのか

「自分の店の場合はどの許可が必要なのか」をより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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お弁当販売を始めるために必要な営業許可・資格とは?デリバリーとの違いも含めて解説

営業許可や資格、販売方法による違いを詳しく確認したい方はこちらで解説しています。

弁当販売でもHACCPに沿った衛生管理を忘れない

営業許可だけを確認して終わりではありません。

飲食店では、食品衛生法に基づきHACCPに沿った衛生管理への対応が重要です。

小規模な飲食店については、大規模な食品工場とまったく同じ方式で管理するのではなく、厚生労働省が内容を確認した業種別手引書を参考に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行う方法が示されています。

厚生労働省が案内している小規模営業者向けの対応では、衛生管理計画を作成し、従業員へ周知し、実施状況を記録し、定期的に振り返って必要に応じて計画を見直す流れが示されています。

店内飲食以上に「調理してから食べるまで」を意識する

弁当販売では、店舗で料理を提供してすぐ食べてもらう場合とは異なり、調理から実際に食べるまでに時間が空きやすいという特徴があります。

そのため、調理直後だけではなく、冷却、盛り付け、保管、受け渡し、運搬までを含めて衛生管理を考える必要があります。

京都府ではテイクアウト・宅配について、加熱する食品は中心部まで十分に加熱すること、調理した食品を長時間常温で放置しないこと、施設規模に応じた無理のない提供食数とすることなどを案内しています。

弁当販売で特に注意したいポイント

  • 作り置きを増やしすぎない
  • 調理済み食品を長時間常温に置かない
  • 加熱が必要な食品は十分に加熱する
  • 冷却が必要な食品は速やかに冷却する
  • 店舗の設備・人員を超える大量注文を受けない
  • 完成後から受け渡しまでの時間を管理する
  • デリバリー時の温度管理まで考える

弁当の「食品表示」が必要になるケースも確認する

弁当を容器包装に入れて販売する場合は、販売方法によって食品表示への対応が必要になります。

消費者庁では、食品表示法・食品表示基準に基づく食品表示制度を案内しており、弁当・そうざいに関する表示資料も公開しています。

とくに店舗以外の場所で販売したり、製造者以外の販売者を通じて商品を販売したりする場合は、表示について自己判断しないことが大切です。

▼ 食品表示はこちらで詳しく解説

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名称、原材料、アレルギー、消費期限など、弁当販売で迷いやすい表示について詳しく確認できます。

STEP1|「誰に売る弁当なのか?」ターゲットを決める

営業上の確認ができたら、次に考えたいのが「誰に何のために買ってもらう弁当なのか」です。

弁当販売でありがちな失敗が、「とりあえず店の人気料理を詰め合わせれば売れる」と考えてしまうことです。

同じ800円の弁当でも、会社員の昼食、子育て世帯の夕食、会議用、高齢者向け、スポーツイベント向けでは求められる内容が違います。

オフィスワーカー向け

オフィス街や工場の近くであれば、昼休みに食べるランチ弁当が候補になります。

この場合は豪華さだけではなく、価格・量・受け取りやすさ・提供スピードなども重要な要素です。

昼休みの時間は限られているため、注文後に10分、20分と待つ必要がある商品より、予約してすぐ受け取れる仕組みの方が利用しやすいでしょう。

法人・会議向け

法人向けでは、1個ずつ来店客へ販売するのとは違い、まとまった注文につながる可能性があります。

その一方で、「指定時間までに20食を届けてほしい」「領収書が必要」「複数種類を用意してほしい」といった法人ならではの要望が発生することもあります。

そのため、法人向けに取り組むなら、最低注文個数、配達エリア、注文締切、キャンセル条件などを先に決めておくと運営しやすくなります。

家庭の夕食向け

住宅街では「今日の夕食を少し楽にしたい」という需要を想定した弁当・そうざいも考えられます。

ランチ弁当とは違い、主菜だけ、家族で分けられるそうざいセットなど、店舗の料理を家庭で利用しやすい形に変える方法もあります。

自店舗の周辺にどのような住民・企業・施設があるのかを確認し、商圏に合った商品を設計することが大切です。

ターゲット 重視されやすいポイント 販売方法の例
会社員 価格・ボリューム・受取スピード 店頭・予約
法人 時間厳守・まとまった注文への対応 予約・配達
一般家庭 手軽さ・家族で食べやすい内容 店頭・予約・宅配
イベント 大量注文・予算・受渡時間 事前予約

STEP2|弁当の商品・メニューを設計する

ターゲットが決まったら、いよいよ弁当の中身を考えます。

ここで大切なのは、「店でおいしい料理=そのまま弁当に向いている料理」ではないということです。

店内では出来たてを数分以内に提供できますが、弁当は調理、盛り付け、受け渡し、持ち運びを経てから食べてもらうことになります。

時間の経過による食感の変化や、汁漏れ、容器内での盛り付け崩れ、温度管理などまで考えてメニューを設計しましょう。

最初からメニューを増やしすぎない

弁当販売を始めるときに「たくさん種類を用意した方がお客様が選べる」と考え、10種類、20種類と増やしたくなるかもしれません。

しかし、メニュー数が増えるほど、仕入れる食材、仕込み、在庫、盛り付け、注文管理が複雑になります。

特に店内営業と同時進行する店舗では、ランチのピーク時間に店内注文と弁当注文が集中すると厨房が回らなくなる可能性があります。

おすすめは「看板商品+少数メニュー」から

たとえば、唐揚げが人気なら「看板唐揚げ弁当」を中心に、日替わり弁当や少し価格帯の高い弁当を追加する程度から始め、販売データを見ながら増減させる方法があります。

店内メニューと食材を共通化する

弁当専用メニューのためだけに新しい食材を何種類も仕入れると、在庫管理が難しくなり、食品ロスが増える原因にもなります。

できるだけ店内メニューと同じ食材を活用できれば、仕入れや仕込みを共通化しやすくなります。

たとえば、店舗で使用している鶏肉を店内では唐揚げやチキン南蛮に使い、弁当でも同じ食材を利用するといった方法です。

ただし、商品ごとの利益を把握するためには、弁当1食あたりにどれだけ食材を使っているのかを数値化しておく必要があります。

▼ 原価計算もあわせて確認

【2026年最新】飲食店の原価率とは?計算方法・目安と原価率が高いときの改善策を徹底解説

食材原価だけでなく、利益を残すための価格設定や原価率の考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。

「冷めても食べやすいか」を実際に確認する

弁当メニューを決めるときは、試作した直後に食べて判断するだけでは不十分です。

実際の販売を想定し、容器へ盛り付けて一定時間置いたあとに、スタッフ自身で食べて確認してみましょう。

たとえば、揚げ物の衣が極端にしんなりしないか、ご飯が硬くならないか、タレや煮汁が他のおかずへ移っていないか、持ち運んだ際に盛り付けが崩れないかなどをチェックできます。

容器まで含めて「商品」と考える

弁当では、料理だけでなく容器も重要です。

どれだけ料理がおいしくても、汁が漏れる、ふたが閉まらない、持ち運ぶと料理が片側に寄ってしまう、といった状態では満足度を下げてしまいます。

また、容器代、ふた、箸、おしぼり、袋なども販売するために必要なコストです。

そのため、食材原価だけを見て販売価格を決めるのではなく、包装資材を含めた1食あたりのコストを把握する必要があります。

「いくらで売れば利益が残るのか?」を具体的に解説

前半では、弁当販売を始める前の営業許可・届出の考え方と、ターゲット設定、商品設計について解説しました。

しかし、弁当が売れても利益が残らなければ事業として長く続けることはできません。

STEP3「原価率と販売価格」→STEP4「容器・食品表示・衛生管理」→STEP5「販売方法と集客」を中心に、800円の弁当を販売した場合の考え方なども交えながら詳しく解説します。

TEP3|弁当の原価率を計算して「利益が残る販売価格」を決める

ターゲットとメニューが決まったら、次に考えるべきなのが販売価格です。

弁当販売では「近所のお店が700円だから、うちも700円」「ランチだから1,000円を超えると売れないだろう」といった感覚だけで価格を決めてしまうケースがあります。

しかし、どれだけ多くの弁当が売れても、1食販売するたびにほとんど利益が残らない状態では長く続けられません。

弁当販売では「売上」より先に「1食売ったらいくら残るか」を把握する

食材費だけではなく、容器・箸・袋などの包装資材、決済手数料、デリバリーサービスを利用する場合の手数料、人件費なども考慮しながら価格を設定することが重要です。

まずは弁当1食分の食材原価を出す

原価率を考える第一歩は、弁当1食を作るために使用している食材費を把握することです。

たとえば、800円で販売する唐揚げ弁当について、食材費が240円だったとします。

原価率の基本計算

240円 ÷ 800円 × 100 = 30%

この場合、食材原価だけを見れば原価率は30%です。

ただし、ここで「560円も利益が出る」と考えてはいけません。

実際には、弁当を販売するためにさまざまな費用が発生するからです。

容器・箸・袋も忘れずに計算する

店舗で皿に盛り付けて提供する料理とは違い、弁当では基本的に使い捨ての包装資材が必要になります。

たとえば、次のようなコストです。

  • 弁当容器
  • ふた
  • おしぼり
  • レジ袋・持ち帰り袋
  • 輪ゴムやテープ
  • 食品表示ラベル
  • 調味料の小袋
  • 保冷剤など

仮に食材原価が240円でも、容器などの包装資材に70円かかれば、商品を1個作るための直接的なコストは310円になります。

800円で販売する場合、

食材費:240円

容器・包装資材:70円

合計:310円


310円 ÷ 800円 × 100 = 38.75%

食材だけなら30%だった比率も、包装資材まで含めると38.75%になります。

ここへさらに人件費や光熱費、決済関連の費用などが加わるため、販売価格を決める際は「食材原価率だけを見れば十分」と考えないことが大切です。

▼ 飲食店の原価計算はこちらで詳しく解説

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原価率の計算方法や原価が高くなってしまった場合の改善方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

「原価率30%にしなければならない」と決めつけない

飲食店経営では「原価率30%」という数字がよく使われますが、すべての弁当を必ず30%に設定しなければならないわけではありません。

重要なのは、自店舗の家賃、人件費、包装資材、販売方法、廃棄率などを踏まえたうえで、最終的に店舗へ利益が残る価格なのかを確認することです。

たとえば看板商品の原価率をやや高めに設定して集客し、追加のお茶やそうざい、デザートなどを購入してもらうことで客単価を上げる方法もあります。

一方、原価率の高い商品ばかり売れる構成では利益を圧迫する可能性があります。

商品単体だけではなく、弁当販売全体で利益を確認する視点を持ちましょう。

デリバリー販売では同じ価格設定にしない

店頭で800円の弁当を販売しているからといって、デリバリーでも同じ価格に設定すれば同じ利益が残るとは限りません。

外部のデリバリーサービスを利用する場合は、サービスごとの契約条件や各種手数料などを確認する必要があります。

注意|「売価×注文数」だけを売上判断に使わない

店頭販売・自社注文・外部デリバリーでは、1件の注文を獲得するために必要なコストが異なります。販売チャネル別に「売上-変動費」で利益を確認しておくと、売れているのに利益が残らない状態を発見しやすくなります。

800円の弁当を1日30食販売すると売上はいくら?

ここで、弁当販売の数字を簡単にイメージしてみましょう。

項目
弁当価格 800円
1日の販売数 30食
1日の売上 24,000円
月25日営業した場合 600,000円

単純計算では、800円の弁当を毎日30食、月25日販売すると月間売上は60万円です。

しかし、60万円がそのまま利益になるわけではありません。

食材費、包装資材、人件費、光熱費、決済や外部サービス関連の費用、売れ残りによる廃棄などを差し引いたあとに残る金額を確認する必要があります。

成功する店ほど「何食売れたか」だけでなく「1食いくら残ったか」を見る

販売数だけを追いかけるのではなく、商品別の原価、廃棄数、販売チャネル別利益などを定期的に記録しておくと、改善すべき商品が見えやすくなります。

STEP4|容器・食品表示・衛生管理を整える

弁当の商品と価格が決まったら、販売前にもう一度確認しておきたいのが「安全にお客様へ届けられる仕組みになっているか」です。

弁当販売では、料理を作るところまでが仕事ではありません。

盛り付け、包装、保管、受け渡し、持ち運び、デリバリーを経て、お客様が実際に食べるまでを想定した管理が必要です。

テイクアウト・デリバリーは食べるまでの時間が長くなりやすい

厚生労働省は、テイクアウトやデリバリーについて、店内で提供する場合と比べて調理してからお客様が食べるまでの時間が長くなり、特に気温の高い時期には食中毒のリスクが高まると注意喚起しています。

弁当販売では、通常の店内営業で実施している手洗いや従業員の健康管理だけでなく、テイクアウト特有のリスクも考えて管理しなければなりません。

【公的根拠】厚生労働省|テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防

▶ 厚生労働省の公式ページを確認する

店の調理能力を超えて大量に作らない

「弁当なら客席数以上に売れる」と考えて、急に大量販売へ切り替えるのは危険です。

厚生労働省もテイクアウト・デリバリーの食中毒予防において、店舗の規模や調理能力に見合った提供数になっているかを確認するよう案内しています。

普段20人分を調理している厨房で、突然100食、200食を同じ時間帯に作れば、加熱・冷却・盛り付け・保管などの作業が追いつかなくなる可能性があります。

最初は10食、20食など無理のない販売数から始め、実際の調理時間や注文数を確認しながら徐々に増やす方法が現実的です。

加熱・冷却・保管を適切に行う

厚生労働省では、テイクアウト・デリバリー向けの食中毒予防として、食品を十分に加熱し、調理した食品を速やかに冷却する、または適切な温度で保管することなどを案内しています。

⚠ 弁当販売でチェックしたい衛生管理

  • 調理前・作業切替時などに適切な手洗いを行う
  • 調理者の健康状態を確認する
  • 生ものなどテイクアウトに適さない食品の使用を慎重に判断する
  • 加熱が必要な食品を十分に加熱する
  • 調理後に長時間常温放置しない
  • 冷却が必要な食品は速やかに冷却する
  • 適切な温度で保管・運搬する
  • 店舗の能力を超える数量を製造しない

HACCPに沿った衛生管理を「記録」まで行う

食品衛生法では、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。

小規模な一般飲食店などについては、厚生労働省が確認した手引書を利用し、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に取り組む方法が示されています。

重要なのは「気をつけています」で終わらせず、衛生管理計画を作成して実施し、その内容を記録・確認することです。

NEW|2026年6月から厚生労働省のHACCP衛生管理記録アプリも本格運用

厚生労働省は2026年6月5日、小規模な一般飲食店事業者向けの手引書に対応した「HACCP衛生管理記録アプリ」の本格運用開始を公表しました。

紙による記録だけでなく、こうした公的ツールを活用して衛生管理の記録負担を軽減する方法もあります。

▶ 厚生労働省「HACCP衛生管理記録アプリの公開について」

弁当容器は「見た目」だけで選ばない

SNS映えを意識しておしゃれな容器を選ぶことも大切ですが、弁当容器はデザインだけで決めないようにしましょう。

実際の販売を想定して、次のような項目を確認します。

  • 食品の量と容器サイズが合っているか
  • ふたが確実に閉まるか
  • 汁漏れしにくいか
  • 持ち運んでも料理が偏りにくいか
  • 盛り付け作業が複雑にならないか
  • 保管場所を取りすぎないか
  • 1個あたりの仕入れ価格が利益を圧迫しないか
  • 使用方法が容器の仕様に合っているか

特にデリバリーの場合は、店舗からお客様の自宅までバイクや自転車などで運搬されることも想定し、実際に商品を入れて持ち運びテストをしておくと安心です。

弁当には食品表示が必要?販売方法によって確認する

弁当販売で非常に検索されやすい疑問のひとつが、「弁当にラベル表示は必要なのか?」という点です。

ここで注意したいのは、すべての弁当について一律に「この表示だけすればよい」と判断しないことです。

食品表示法・食品表示基準では、容器包装された加工食品などについて表示ルールが定められています。一方で、製造場所や販売方法などによって扱いが異なるケースがあるため、自店舗の販売形態に照らして確認する必要があります。

【公的根拠】消費者庁|食品表示法等

消費者庁では食品表示法・食品表示基準のほか、「弁当・惣菜に係る表示」などの関連資料を公開しています。

▶ 消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」

▼ 弁当のラベル・食品表示はこちら

【2026年最新】お弁当販売にラベル表示は必要?食品表示の義務・表示例を飲食店向けに解説

店内で作った弁当を販売する場合の考え方や、名称・原材料・期限・アレルギーなど、食品表示についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

消費期限は感覚だけで決めない

弁当の期限表示を設定するときに、「ほかの店が当日中だから」「今まで問題がなかったから」という理由だけで設定するのは避けましょう。

消費者庁は「食品期限表示の設定のためのガイドライン」を公表しており、食品の特性などを踏まえて科学的・合理的な根拠に基づき期限を設定する考え方を示しています。

消費者庁|食品期限表示の設定のためのガイドライン
▶ 食品表示法・関連ガイドラインを確認する

アレルギー情報も確認しておく

弁当には複数のおかずや調味料を使うことが多いため、使用している原材料を正確に把握しておくことも重要です。

たとえばメインの料理には含まれていなくても、タレ、ドレッシング、加工食品、調味料などにアレルゲンが含まれている場合があります。

「たぶん入っていない」といった感覚で回答するのではなく、仕入商品の原材料表示などを確認できる体制を整えておきましょう。

STEP5|弁当の販売方法と集客方法を決める

営業上の確認、商品設計、価格設定、衛生管理まで準備できたら、最後は「どこで、どうやって売るのか」を決めます。

弁当販売は店頭だけではありません。

店頭テイクアウト、事前予約、法人向け配達、デリバリーなど、複数の選択肢があります。

ただし、販売チャネルを増やせば必ず売上が伸びるわけではありません。

注文経路を増やしすぎると、電話・店頭・オンライン・デリバリーから注文が同時に入り、厨房が混乱する可能性があります。

① 店頭テイクアウト

まず取り組みやすい方法のひとつが、店舗で作った弁当を店頭で販売する方法です。

既存のお客様へ「弁当も始めました」と案内しやすく、店舗前を通る人にも商品を知ってもらえます。

こんな店舗と相性が良い
  • 駅やオフィスの近く
  • 昼間の人通りがある
  • 既存客が多い
  • 住宅街にある
  • 店舗前に商品を案内できるスペースがある

一方で、通行量が少ない店舗では「作って店頭に並べておけば売れる」と考えると、売れ残りが発生しやすくなります。

② 電話・Webによる事前予約

小規模な飲食店ほど活用したいのが、事前予約です。

予約数が先にわかれば、必要な食数を予測しやすくなり、作りすぎによる廃棄を抑えることにもつながります。

「当日10時までの注文で12時以降受け取り」のように締切時間を決めれば、店内営業との調整もしやすくなります。

小規模店ほど予約販売から始めるのがおすすめ

初日から50食を作って待つより、「まず予約分10食+店頭販売分5食」のように販売量を管理し、何曜日・何時・どの商品が売れるのかデータを集めた方が改善しやすくなります。

③ 法人向け弁当

近隣に会社、工場、学校、施設などが多い場合は、法人需要を狙う方法もあります。

会議や研修では複数食のまとまった注文が発生することがあるため、1件の注文で複数個販売できる点が特徴です。

ただし法人注文では、数量だけでなく指定時刻への受け渡し、領収書、請求方法などへの対応が必要になる場合があります。

法人向け販売を行うなら、あらかじめ以下を決めておくと安心です。

  • 最低注文個数
  • 注文締切
  • 配達可能エリア
  • 配達可能時間
  • キャンセル期限
  • 支払い方法
  • 領収書・請求書への対応

④ フードデリバリー

店舗へ来店しない顧客へ商品を届けたい場合は、フードデリバリーも販売チャネルの候補になります。

店舗の前を通ったことがない人にも商品を知ってもらえる可能性がある一方、店頭販売とはコスト構造やオペレーションが異なります。

導入する際は、各サービスの最新の契約条件、手数料体系、対象エリアなどを必ず公式情報で確認してください。

また、配達時間を考慮し、店内で食べたときだけではなく「届けた状態で商品として成立するか」を確認することも重要です。

⑤ スーパー・直売所など店舗外で販売する

弁当を自店舗以外のスーパー、売店、直売所などへ展開すれば、店舗の商圏外へ商品を届けられる可能性があります。

ただし、ここは店頭テイクアウトの延長として自己判断しない方がよい部分です。

取り扱う食品や製造方法、卸売の有無などによって必要な営業許可・届出が変わる場合があります。また、容器包装された商品として販売するときは食品表示についても確認が必要です。

重要

「店内で弁当を作って売れるから、スーパーにもそのまま卸せる」とは限りません。外部店舗での販売や卸売を始める場合は、事前に店舗所在地を管轄する保健所へ営業形態を説明し、必要な許可・届出を確認してください。

▼ 営業許可・資格の違いを詳しく知りたい方へ

お弁当販売を始めるために必要な営業許可・資格とは?デリバリーとの違いも含めて解説

営業許可や資格、店頭販売・デリバリーなど販売形態による考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。

店頭販売・予約・デリバリー・法人配達はどれがおすすめ?

ここまで複数の販売方法を紹介しましたが、最初からすべてに取り組む必要はありません。

それぞれメリットと運営上の注意点があるため、自店舗の立地、厨房能力、スタッフ数、商圏などを考えて選びます。

販売方法 特徴 メリット 注意点
店頭販売 店舗で直接販売 既存店舗を活用しやすい 通行量や立地の影響を受けやすい
予約販売 事前注文後に受け渡し 製造数を予測しやすい 受付管理が必要
法人弁当 会社・会議などへ販売 まとまった注文を狙える 時間・数量管理が重要
デリバリー 店舗外の顧客へ配送 商圏拡大を狙いやすい 契約条件・手数料等の確認が必要
外部店舗販売 スーパー等へ展開 自店舗以外でも販売可能 許可・届出・表示の確認が重要

弁当販売を始めても「存在を知られなければ」売れない

弁当の内容、価格、衛生管理を整えたら、次は集客です。

よい商品を作れば自然に口コミが広がる可能性はありますが、新しく弁当販売を始めたこと自体がお客様に知られていなければ購入につながりません。

店内のお客様へ告知する

最初に取り組みやすいのは、すでに来店しているお客様への案内です。

レジ付近やテーブルにPOPを置いたり、会計時に弁当販売を案内したりすることで、既存客へ認知を広げられます。

「店には行く時間がないけれど、お店の料理を家や職場で食べたい」という需要を取り込める可能性があります。

Googleビジネスプロフィールの情報を更新する

店舗情報をオンラインで発信するときは、Googleビジネスプロフィールなど、自店舗を探している人が利用する情報も確認しておきましょう。

営業時間、電話番号、Webサイトなどの基本情報を最新状態にし、実際に提供しているサービスに合わせて情報を更新することが大切です。

InstagramなどSNSで「中身がわかる写真」を発信する

弁当は視覚的に内容を伝えやすい商品です。

SNSでは、「弁当販売を始めました」という文章だけではなく、実際の弁当写真、価格、受取可能時間、予約方法などを一緒に掲載すると、ユーザーが購入を判断しやすくなります。

毎日投稿することだけを目的にするのではなく、注文につながる情報がきちんと載っているかを確認しましょう。

近隣企業へ法人弁当を案内する

法人向け弁当を販売する場合、Webから注文を待つだけでなく、店舗周辺の会社や事業所へ存在を知ってもらう方法もあります。

料金、最低注文数、配達範囲、注文締切、連絡先などを1枚にまとめておけば、担当者も検討しやすくなります。

特に会議、研修、イベントなどまとまった注文を想定するなら、通常のランチ弁当とは別に法人用の商品ページや案内を用意する方法もあります。

弁当販売は「売れ残り」を減らす仕組みまで考える

弁当販売で利益を残すためには、販売価格だけでなく廃棄ロスにも注意が必要です。

朝に50食作って40食しか売れなければ、10食分の食材費だけでなく、調理にかけた人件費や容器代なども無駄になってしまいます。

食品ロス削減は飲食店経営上のコスト管理というだけではなく、社会全体で進められている課題でもあります。農林水産省も外食分野における食品ロス削減の取り組みを案内しています。

【公的根拠】農林水産省|外食における食品ロス対策

▶ 農林水産省の公式情報を見る

予約比率を高めて販売数を予測する

廃棄を減らす方法として取り組みやすいのが、予約注文を増やすことです。

たとえば前日までの予約が20食入っていれば、「予約20食+店頭販売分10食」といった形で製造量を調整しやすくなります。

さらに、曜日ごとの販売数を記録すれば、「月曜日は少ない」「金曜日は多い」といった傾向が見えてくる可能性があります。

弁当ごとの販売数と廃棄数を記録する

弁当販売開始後は、最低でも次の数字を記録しておきましょう。

  • 商品別販売数
  • 売上金額
  • 1食あたり原価
  • 廃棄数
  • 販売時間帯
  • 予約注文数
  • 販売チャネル別注文数

数字を残しておけば、「一番売れる弁当」と「一番利益が残る弁当」が必ずしも同じではないことにも気づけます。

「売れる弁当」だけでなく「安全に利益を残せる弁当」を作る

弁当販売の原価計算・価格設定から、容器、食品表示、HACCPに沿った衛生管理、販売チャネル、集客まで解説しました。

飲食店が弁当販売で成功するためには、単に「おいしい弁当を作る」だけでは十分ではありません。

商品設計・原価・衛生管理・販売方法・集客までをひとつの仕組みとして考えることが重要です。

そして、販売開始後は商品別販売数や原価、廃棄数を記録し、実際の数字を見ながら改善を続けていきましょう。


続いて「失敗する店・成功する店の違い」をさらに深掘りします

「弁当販売で失敗しやすい7つの原因」「成功させる7つのコツ」「販売開始前チェックリスト」「よくある質問」「2026年版まとめ」まで仕上げ、検索ユーザーが弁当販売開始前に抱く疑問を一気に解消します。

食店の弁当販売で失敗しやすい7つの原因

ここまで弁当販売を始める5つのステップを解説してきました。

必要な営業上の確認を行い、おいしい商品を作ったとしても、それだけで必ず弁当販売が成功するとは限りません。

特に飲食店の場合は、通常の店内営業と弁当販売を同じ厨房・スタッフで同時に運営するケースが多いため、販売数が増えたことによって逆に現場が回らなくなることもあります。

⚠ 弁当が「売れること」と「利益が残ること」は別です

弁当販売では、売上だけではなく、原価・人件費・包装資材・廃棄・作業時間・店内営業への影響まで確認する必要があります。

① 最初からメニューを増やしすぎる

弁当販売を始めると、「唐揚げ弁当」「焼肉弁当」「ハンバーグ弁当」「魚弁当」「日替わり弁当」など、できるだけ多くの商品を並べたくなるかもしれません。

しかし、メニューが増えるほど必要な食材も増え、仕込み・在庫管理・盛り付け・注文管理が複雑になります。

特に販売数がまだ読めない開始直後は、商品を増やすほど売れ残る商品も発生しやすくなります。

まずは「この店の弁当といえばこれ」と言える看板弁当を1商品作り、2~4種類程度の少数メニューから検証すると運営しやすいでしょう。

② 価格を安くしすぎる

「弁当は安くなければ売れない」と考え、周辺店舗より安い価格に設定するケースがあります。

もちろん商圏に合った価格設定は重要ですが、値下げを先に考えると利益を確保できなくなる可能性があります。

たとえば100円値下げした場合、その100円分を取り戻すためには、より多くの商品を販売しなければなりません。

しかも販売数が増えれば、食材費だけではなく調理・盛り付け・包装などに必要な作業量も増えていきます。

価格競争ではなく「この価格でも買いたい理由」を作る

ボリューム、人気店の味、手作り感、地元食材、主菜の豪華さ、予約のしやすさなど、自店舗ならではの価値を伝えることも重要です。

③ 食材原価しか計算していない

前半・中盤でも解説したように、弁当販売では食材以外にもさまざまな費用が発生します。

  • 弁当容器
  • 箸・おしぼり
  • ラベル
  • 保冷剤
  • 決済関連費用
  • 外部サービスを利用する場合の費用
  • 調理・盛り付けに必要な人件費

食材原価率だけを見て「利益が出ている」と判断しないようにしましょう。

④ 作りすぎて廃棄が増える

弁当販売では「売り切れると機会損失になる」と考え、必要以上に多く作ってしまうことがあります。

しかし、完成した弁当は生鮮食品のように翌日まで在庫として持ち越せる商品ではありません。

売れ残れば、使用した食材だけでなく容器、調理時間、人件費なども含めた損失につながります。

農林水産省が公表している令和6年度の推計では、日本全体の食品ロスは年間461万トンで、このうち事業系食品ロスが237万トン、さらに外食産業では70万トンとされています。

【公的根拠】農林水産省|食品ロスとは

▶ 日本の食品ロスに関する最新情報を見る

弁当販売では、食品ロス削減と利益確保の両方の観点から、予約販売と販売実績の記録を活用するとよいでしょう。

⑤ 店内営業と弁当注文が同時に集中する

弁当が人気になっても、厨房がパンクして店内のお客様への料理提供が遅れてしまえば、本来の店舗営業にも影響します。

特にランチタイムは、店内客・テイクアウト客・電話予約・デリバリー注文などが同じ時間帯に集中しやすくなります。

そこで、

  • 予約締切時間を設定する
  • 弁当の受け取り時間を分散する
  • 1時間あたりの受付上限を決める
  • 大量注文は前日までの予約制にする
  • ピーク時間は注文受付を制限する

といったルールを決めておくと、厨房オペレーションを安定させやすくなります。

⑥ 衛生管理・温度管理を軽視する

弁当販売で特に注意したいのが食中毒です。

厚生労働省は、テイクアウトやデリバリーについて、店内飲食よりも調理してから食べるまでの時間が長くなるため、特に気温が高い時期には食中毒リスクが高まるとして注意喚起しています。

また、厚生労働省はテイクアウト・デリバリーについて、調理した食品を速やかに10℃以下まで冷却するか、65℃以上で保管することなどを案内しています。

⚠ 売上より安全を優先する

大量注文が入ったからといって、店舗の冷蔵・保温能力を超えて受注するのは避けるべきです。

注文数が調理能力を超える場合は、受付数を制限する判断も必要になります。

厚生労働省|テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防
▶ 厚生労働省の公式情報を確認する

⑦ 販売チャネルを一気に増やす

店頭販売、電話注文、SNSのDM、自社サイト、法人注文、デリバリーなど、弁当にはさまざまな販売方法があります。

しかし、スタート直後からすべてのチャネルを開くと、注文管理が複雑になりやすくなります。

「同じ時間に注文が集中した」「注文の確認漏れがあった」「売り切れなのに注文を受けてしまった」といった問題につながりかねません。

まずは予約+店頭販売など管理しやすい方法からスタートし、運営が安定してから販売チャネルを増やす方法がおすすめです。

飲食店の弁当販売を成功させる7つのコツ

ここからは反対に、弁当販売を継続的な売上につなげるために意識したいポイントを紹介します。

① 「この店ならこれ」という看板弁当を作る

商品数を増やす前に、まず看板商品を作りましょう。

たとえば、

  • 名物唐揚げ弁当
  • 炭火焼肉弁当
  • 手ごねハンバーグ弁当
  • 日替わり幕の内弁当

など、店舗の強みがひと目で伝わる商品です。

看板弁当があれば、SNSでも「何のお店なのか」を伝えやすくなり、初めて注文するお客様も商品を選びやすくなります。

② 小さく始めて販売データを集める

弁当販売では、実際に販売してみなければ分からないことがたくさんあります。

そのため、スタート時から大きな売上を狙うのではなく、まず小さく始めてデータを集める方法が有効です。

毎日記録したい数字

  • 商品ごとの製造数
  • 販売数
  • 廃棄数
  • 販売時間帯
  • 予約数
  • 売上
  • 原価
  • 販売チャネル

1週間、1か月とデータが蓄積されれば、感覚ではなく実績をもとに製造数を調整できます。

③ 予約販売を積極的に利用する

予約販売は、弁当販売と非常に相性のよい方法です。

何食売れるのか事前に分かるため、必要な食材量や製造数を予測しやすくなります。

法人注文の場合は「前日○時まで」、個人注文では「当日○時まで」など、自店舗のオペレーションに合った締切時間を決めておくとよいでしょう。

④ 客単価を上げる商品も用意する

弁当だけで売上を伸ばす方法は、販売数を増やすことだけではありません。

たとえば、

  • お茶
  • 味噌汁
  • そうざい
  • デザート
  • 大盛りオプション
  • 主菜追加

など、弁当と一緒に購入しやすい商品を用意すれば客単価アップにつながる可能性があります。

ただし商品を増やしすぎると在庫管理が複雑になるため、売れ方を確認しながら追加しましょう。

⑤ 写真と価格を分かりやすく見せる

弁当販売では「何が入っているのか」が購入前に分かることが重要です。

店頭POPやSNS、Webサイトでは、実際の商品写真と価格、注文方法、受取時間などを分かりやすく掲載しましょう。

最低限載せたい情報
  • 商品名
  • 実際の弁当写真
  • 価格
  • 販売日
  • 受取時間
  • 予約方法
  • 注文締切

⑥ リピーターを増やす

弁当販売を安定させるためには、毎日新規顧客だけを集め続けるより、繰り返し購入してもらえる顧客を増やすことが重要です。

曜日ごとに日替わり商品を変えたり、SNSで翌日のメニューを告知したりする方法も考えられます。

法人向けの場合は、一度利用してもらった企業から会議や研修のたびに注文してもらえるようになれば、安定した受注につながる可能性があります。

⑦ 売れない商品は思い切って見直す

一度作った商品をずっと販売し続ける必要はありません。

「思ったより売れない」「原価が高い」「作るのに時間がかかりすぎる」という商品があれば、定期的に見直しましょう。

販売数だけではなく、

  • 利益額
  • 原価率
  • 調理時間
  • 廃棄数
  • リピート率

などを合わせて確認すると、残すべき商品と見直すべき商品を判断しやすくなります。

【保存版】飲食店が弁当販売を始める前のチェックリスト

ここまで紹介した内容を、実際に弁当販売を始める前のチェックリストとしてまとめました。

① 営業許可・手続き

□ 管轄する保健所へ弁当販売を始めることを相談した

□ 現在の営業許可で対応できるか確認した

□ 販売方法に応じて追加の許可・届出が必要か確認した

□ 外部店舗へ卸す場合の手続きを確認した


② 商品設計

□ ターゲットを決めた

□ 看板弁当を決めた

□ メニュー数を増やしすぎていない

□ 冷めた状態でも試食した

□ 持ち運びテストをした


③ 原価・価格

□ 1食分の食材原価を計算した

□ 容器・箸・袋などの費用を含めた

□ 人件費を考慮した

□ 販売チャネルごとの費用を確認した

□ 廃棄が出ても継続できる価格か確認した


④ 衛生管理

□ HACCPに沿った衛生管理を実施している

□ 衛生管理の記録方法を決めた

□ 加熱・冷却・保管方法を確認した

□ 一度に作れる上限数を決めた

□ 受け渡しまでの温度管理を確認した


⑤ 表示・販売

□ 自店舗の販売形態で必要な食品表示を確認した

□ アレルギー情報を確認できるようにした

□ 期限設定を確認した

□ 注文方法を決めた

□ 注文締切時間を決めた

□ 受取時間を決めた

□ キャンセルルールを決めた

飲食店の弁当販売についてよくある質問

Q1. 飲食店営業許可があれば弁当を販売できますか?

すでに飲食店営業許可を取得している店舗で、その店舗内で弁当・そうざいを調理して店頭販売や宅配を行う場合、新たな許可が不要となるケースがあります。

ただし、取り扱う食品や販売方法、卸売の有無などによって別の許可・届出が必要になる場合があります。

実際に販売を始める前に、店舗所在地を管轄する保健所へ営業形態を説明して確認してください。

Q2. 弁当販売に食品衛生責任者は必要ですか?

飲食店営業など食品衛生法に基づく営業許可施設では、食品衛生責任者の設置が求められます。

すでに営業している飲食店であれば食品衛生責任者を設置しているケースが一般的ですが、新たな営業形態を追加する際には管轄保健所へ確認しましょう。

Q3. 弁当にラベル表示は必要ですか?

必要な表示は、弁当の製造・販売方法などによって異なります。

容器包装された加工食品については食品表示基準に基づく表示ルールがありますが、店内で製造して同一施設で直接販売する場合など、販売方法によって扱いが異なる場合があります。

消費者庁は弁当・そうざいに関する食品表示資料を公開していますので、自店舗の販売方法に応じて確認してください。

Q4. 作った弁当をスーパーや直売所で販売できますか?

店頭で直接販売している弁当を、そのまま別店舗へ卸せるとは限りません。

製造する食品や販売方法によって、営業許可・営業届出、食品表示などについて追加確認が必要になる場合があります。

スーパー、道の駅、直売所など店舗外で販売する予定がある場合は、販売開始前に保健所へ相談しましょう。

Q5. 自宅で弁当を作って販売できますか?

家庭用のキッチンで自由に弁当を作り、販売できるとは限りません。

食品営業には施設基準などが関係するため、自宅を利用して食品販売を行いたい場合も、事前に管轄保健所へ相談する必要があります。

「少量だから」「知人だけに販売するから」と自己判断せず、営業として行う場合の要件を確認しましょう。

Q6. 弁当は何食から始めるのがおすすめですか?

店舗規模によって異なるため、「○食が正解」という基準はありません。

重要なのは、店舗の厨房設備、スタッフ数、冷蔵・保温能力、店内営業への影響を考え、無理なく安全に調理できる範囲から始めることです。

厚生労働省も、テイクアウト・デリバリーでは店舗の規模や調理能力に見合った提供数となっているか確認するよう案内しています。

Q7. 弁当の原価率は何%くらいがよいですか?

すべての弁当に共通する理想的な原価率があるわけではありません。

飲食店では30%前後という数字が目安として語られることがありますが、実際の利益は家賃、人件費、容器代、廃棄、販売方法などによって大きく変わります。

そのため「原価率30%以内なら成功」と判断するのではなく、商品ごとの粗利益や店舗全体の収益性を確認してください。

Q8. デリバリーだけで弁当を販売することはできますか?

デリバリーを販売チャネルとして利用すること自体は可能ですが、必要な営業許可や施設要件は営業形態によって異なります。

また、デリバリーでは店内提供より食べるまでの時間が長くなりやすいため、商品の選定、容器、温度管理などを含めて設計することが重要です。

2026年に弁当販売を始めるなら「最新ルールの確認」を習慣にしよう

食品関連の制度や表示ルールは、一度確認すれば永久に同じというものではありません。

実際、消費者庁の食品表示関連情報は2026年にも更新されており、食品表示基準についても改正情報が公開されています。

そのため、弁当販売を始める際だけではなく、商品内容や販売方法を変更するときにも最新情報を確認しておくことが重要です。

まとめ|弁当販売は「小さく始めて数字を見ながら改善」が成功への近道

飲食店の弁当販売は、すでにある厨房設備、調理技術、仕入れルート、スタッフ、人気メニューなどを活かしながら、新しい売上を作れる可能性があります。

店頭テイクアウトだけではなく、事前予約、法人弁当、デリバリーなどへ展開できるため、店内の客席数だけに依存しない販売チャネルを作れる点もメリットです。

一方で、弁当販売は「料理を容器に詰めれば始められるビジネス」ではありません。

弁当販売を始める5ステップをもう一度確認

STEP1|誰に売るのかターゲットを決める
会社員、一般家庭、法人など、まず購入者を明確にします。

STEP2|弁当に適した商品を設計する
冷めた状態や持ち運びまで想定し、少数の看板商品から始めます。

STEP3|原価と販売価格を計算する
食材だけではなく、容器や人件費などを含めて利益が残る価格を考えます。

STEP4|食品表示・衛生管理を整える
HACCPに沿った衛生管理や温度管理、必要な食品表示を確認します。

STEP5|販売方法と集客方法を決める
店頭、予約、法人、デリバリーなど、自店舗に合ったチャネルから始めます。

そして、最も重要なのが、販売開始前に現在取得している営業許可で予定している弁当販売ができるのか、管轄保健所へ確認することです。

飲食店営業許可を持っている店舗でも、取り扱う食品、製造方法、販売場所、卸売の有無などによって必要な対応が変わる場合があります。

「ほかの飲食店がやっているから大丈夫」と判断するのではなく、自店舗の営業形態を具体的に説明して確認しましょう。

弁当販売を始めるなら、最初から100食、200食を目指す必要はありません。

まずは店舗の調理能力に合った数量から始め、「何食作ったか」「何食売れたか」「何食廃棄したか」「1食あたりいくら利益が残ったか」を記録していきましょう。

数字を見ながら看板商品の改善、価格の見直し、予約販売の強化、法人需要への展開などを進めることで、弁当販売を店舗の新しい収益源へ育てていくことができます。

🍱 まずは「安全に作れる数量」から始めよう

許可・衛生・原価・販売方法を確認して、
自店舗に無理のない弁当販売をスタートしてみてください。

弁当販売を続けるなら「飲食店経営そのもの」を楽にする仕組みも考えよう

弁当販売を始めると、売上を増やせる可能性がある一方で、仕込み、盛り付け、注文受付、在庫管理、経理など、これまで以上に業務が増えることもあります。

特に人手が限られている飲食店では、店内営業と弁当販売をすべて人の手だけで処理しようとすると、スタッフの負担が大きくなりかねません。

そこで重要になるのが、「売上を増やすこと」と同時に「やらなくてもよい作業を減らすこと」です。

こんな業務に時間を取られていませんか?

  • 毎日の仕込み・食材の下処理
  • 売上・経費の入力
  • 給与計算
  • シフト管理
  • 予約・注文管理
  • 在庫管理
  • 請求書や領収書の処理
  • SNSや集客業務

一つひとつは小さな作業でも、毎日積み重なると大きな負担になります。

特に弁当販売では「午前中に仕込みが集中する」「ランチ前に注文が集中する」といったこともあるため、調理以外の業務を効率化できるサービスを取り入れることも検討してみましょう。

経理・人手不足・店舗業務をまとめて効率化したい方へ

現在は、飲食店向けにも会計・勤怠・予約・モバイルオーダーなど、日々の業務負担を軽減するさまざまなサービスがあります。

「弁当販売を始めたいけれど、今の業務だけですでに手いっぱい」という店舗ほど、まず現在の仕事の中から自動化・外注化できる作業がないかを見直してみるのがおすすめです。

▼ 飲食店経営者におすすめ

飲食店の業務効率化サービスおすすめ5選|人手不足・経理負担を解決する方法

人手不足への対応や経理・店舗運営業務の負担を減らしたい方に向けて、飲食店経営で活用しやすい業務効率化サービスをまとめています。

▶ 飲食店の業務効率化サービス5選を見る

野菜の「洗う・皮をむく・切る」という作業を減らす選択肢も

弁当販売で意外と時間がかかるのが、野菜の下処理です。

キャベツを洗う、玉ねぎの皮をむく、にんじんを切るなど、一つひとつは単純な作業でも、毎日何種類もの野菜を扱えば相応の仕込み時間が必要になります。

そこで、食材の下処理そのものを減らすという考え方もあります。

カット野菜宅配サービス「イエコック」では、野菜をあらかじめ水洗い・皮むき・カットした状態で、1種類ずつ個別包装して届けるサービスを提供しています。

公式サイトでは、生野菜だけでなくスチーム加熱した温野菜も用意されており、野菜の種類や切り方などを選択できます。

イエコックの主な特徴

  • 水洗いの手間を減らせる
  • 皮むきの手間を減らせる
  • カット済みの野菜が届く
  • 1種類ずつ個別包装
  • 冷野菜・温野菜から選べる
  • 複数の切り方から選択できる
  • 定期配送に対応

こうしたプレカット食材を活用すると、家庭での調理はもちろん、「下処理にどれだけ時間を使っているか」を見直すきっかけにもなります。

※飲食店経営者の方へ: イエコック公式サイトは一般家庭向けのカット野菜宅配サービスとして案内されています。店舗での業務利用を検討する場合は、利用条件・商品仕様・配送条件等を公式サイトで確認したうえで、自店舗の用途に適しているか判断してください。

\ 野菜の下処理をもっと手軽に /

カット野菜宅配「イエコック」

水洗い・皮むき・カットの手間を減らしたい方は公式サイトをチェック


「自分でやる必要のない仕事」を減らすことも飲食店経営

飲食店経営では、すべての作業を自分たちで行うことが必ずしも正解ではありません。

たとえば、

負担になっている仕事 効率化の考え方
野菜の下処理 カット済み食材などを検討
予約受付 予約システムを活用
注文・会計 POS・モバイルオーダー等を検討
勤怠・シフト 勤怠管理サービスを活用
経理 クラウド会計等を活用

弁当の販売数を増やすことばかり考えるのではなく、「1食を作るために必要な作業時間をどう減らすか」という視点も重要です。

浮いた時間を商品開発や接客、販促、売上分析などに使えるようになれば、店舗全体の運営改善にもつながります。

🥕 毎日の野菜の下ごしらえをもっと簡単に

カット済み・下処理済みの野菜を取り入れたい方は、イエコックのサービス内容を確認してみてください。


飲食店の「忙しすぎる」を改善したい方へ

弁当販売を始める前に、現在の店舗業務を一度整理してみるのもおすすめです。

人手不足、経理、予約管理、注文管理など、飲食店経営の負担を軽減するサービスについては、以下の記事でまとめて紹介しています。

▶ 飲食店の業務効率化サービスおすすめ5選を見る

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