食店経営者・店長・開業予定者向け

【2026年最新】飲食店の原価率とは?計算方法・目安と原価率が高い場合の改善策を徹底解説

食材価格が上がっている今こそ、単純な「原価率30%」だけではなく、粗利・棚卸し・歩留まりまで含めた原価管理が重要です。

「最近、売上はそれほど変わっていないのに利益が残らない」「食材の仕入れ価格が上がり、以前と同じ価格で料理を提供するのが難しくなってきた」と感じている飲食店経営者も多いのではないでしょうか。

飲食店の利益を考えるうえで、必ず理解しておきたい数字のひとつが「原価率」です。

原価率そのものの計算は難しくありません。しかし、実際の飲食店経営では「食材原価÷販売価格」だけを確認していても、本当の収益性を把握できないケースがあります。

なぜなら、飲食店では仕入れた食材すべてを料理として販売できるわけではなく、廃棄、仕込みロス、食べ残し、在庫、盛り付け量のばらつきなども発生するからです。

さらに現在は、原材料費だけでなく物流費やエネルギーコストなども経営に影響します。農林水産省も食品流通をめぐる状況として、原材料費の高騰や物流費の上昇を背景とした価格転嫁が進んでいることを公表しています。

公的データを確認したい方はこちら

農林水産省|食品流通をめぐる情勢

そのため2026年の飲食店経営では、昔決めた「原価率30%」という数字だけを守るのではなく、自店の売上・食材費・人件費・販売数・粗利などを組み合わせて利益を管理することが大切です。

この記事では、飲食店における原価率の意味から計算方法、月間原価率、棚卸し、歩留まり、粗利との違い、原価率が高くなってしまう原因まで、飲食店経営者向けにわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 飲食店における原価率の意味
  • 原価率の基本的な計算方法
  • 目標原価率から販売価格を逆算する方法
  • 月間原価率と棚卸しの考え方
  • 食材の「歩留まり」が原価に与える影響
  • 飲食店の原価率30%は本当に適正なのか
  • 原価率だけでなく粗利を見るべき理由飲食店の原価率とは?

飲食店における原価率とは、簡単にいえば「料理の販売価格や店舗の売上に対して、食材の原価がどの程度を占めているのか」を表す割合です。

たとえば、1,000円で販売している料理を作るために300円分の食材を使用している場合、単純な食材原価率は30%になります。

原価率の基本式

原価率(%)= 原価 ÷ 販売価格 × 100

原価率は、メニューの価格設定や利益管理、仕入れの見直しを行う際に非常に重要な指標です。

ただし、原価率が低ければ低いほど良いという単純な話ではありません。

食材の品質を下げすぎれば、料理の魅力が低下し、客数やリピート率に影響する可能性があります。反対に、多少原価率が高くても客単価や注文数を伸ばせる看板商品であれば、店舗全体の利益に貢献することもあります。

POINT
原価率は「低くすること」が目的ではありません。
必要な品質を維持しながら、店舗全体で利益が残る状態をつくることが原価管理の目的です。

原価と原価率の違い

まず、「原価」と「原価率」の違いを整理しておきましょう。

項目 意味
原価 商品や料理を作るためにかかった食材などの費用 300円
原価率 販売価格に対して原価が占める割合 30%

同じ300円の原価でも、販売価格によって原価率は変わります。

300円の料理原価に対して販売価格が1,000円なら原価率30%ですが、800円で販売すると37.5%です。

つまり原価率を管理するには、仕入価格だけを見るのではなく、「いくらで仕入れて、いくらで販売しているのか」をセットで確認する必要があります。

原価率と粗利率の違い

原価率と合わせて理解しておきたいのが「粗利」です。

粗利は、売上から売上原価を差し引いた金額を指します。

粗利 = 売上高 − 売上原価

たとえば1,000円の商品に300円の原価がかかっている場合、粗利は700円です。

ここで注意したいのは、粗利からさらに人件費、家賃、水道光熱費、広告費、決済手数料などが支払われるという点です。

「原価率30%だから70%がそのまま利益になる」わけではありません。

これは飲食店経営で非常に誤解されやすい部分です。

注意
原価率だけを見て「儲かっている」と判断するのは危険です。飲食店経営では食材費に加えて、人件費や固定費などを差し引いた最終的な利益まで確認しましょう。

飲食店の原価率の計算方法

ここからは実際に原価率を計算してみましょう。

基本の計算式は先ほど紹介した通りです。

原価率(%)= 原価 ÷ 販売価格 × 100

例として、唐揚げ定食を1,000円で販売している店舗を考えてみます。

食材 原価
鶏肉 150円
衣・調味料・油 60円
ご飯 50円
付け合わせ・汁物 40円
合計 300円

この場合、

300円 ÷ 1,000円 × 100 = 30%

となります。

このようにメニューごとの原価率を計算しておけば、「どの商品で粗利を確保できているのか」「原価が高くなりすぎている商品はどれか」が見えやすくなります。

目標原価率から販売価格を逆算する方法

新しいメニューを開発するときは、食材原価から販売価格を逆算する方法も便利です。

販売価格を求める場合は、

販売価格 = 原価 ÷ 目標原価率

で計算できます。

たとえば食材原価が360円で、目標原価率を30%に設定する場合、

360円 ÷ 0.30 = 1,200円

となるため、単純計算では1,200円が販売価格の目安となります。

ただし、ここで機械的に1,200円に設定すればよいわけではありません。

実際には、

  • 周辺店舗の価格
  • 客層
  • 料理のボリューム
  • ブランド力
  • 人件費
  • 家賃
  • 販売数
  • テイクアウト容器代
  • キャッシュレス決済関連費用
  • デリバリーを利用する場合の関連費用

なども考慮する必要があります。

とくに弁当販売やテイクアウトを始める場合、店内飲食とは異なる容器代・包装資材・配送関連コストが発生するため、食材原価だけで販売価格を決めると利益が圧迫される可能性があります。

▼ 弁当販売を検討している飲食店はこちら

飲食店が「弁当を始める」前に知っておきたい5つのステップと成功の秘訣

弁当販売の業態選びから必要な準備、価格設計、販路まで詳しく解説しています。

店舗全体・月間の原価率はどう計算する?

メニュー1品ごとの原価率と同じくらい重要なのが、店舗全体の原価率です。

経営判断をする場合、「唐揚げ定食の原価率は30%」「パスタは27%」といった商品別データだけではなく、店舗全体で実際にどれだけの原価が発生したのかを確認する必要があります。

ここで重要になるのが売上原価です。

売上原価の基本的な考え方

期首棚卸高 + 当月仕入高 − 期末棚卸高

たとえば、

  • 月初の食材在庫:20万円
  • 1か月の仕入高:100万円
  • 月末の食材在庫:30万円

だったとします。

この場合の売上原価は、

20万円 + 100万円 − 30万円 = 90万円

です。

そして月間売上が300万円なら、

90万円 ÷ 300万円 × 100 = 30%

となり、店舗全体の月間原価率は30%と計算できます。

「今月100万円仕入れたから原価100万円」とは限らない

月末に30万円分の食材が残っているのであれば、その在庫すべてが当月の料理に使用されたわけではありません。そのため、店舗全体の原価を見るときは仕入金額だけでなく、月初・月末の在庫を含めて確認することが重要です。

飲食店の原価管理で「棚卸し」が重要な理由

店舗全体の正確な原価率を把握するためには、定期的な棚卸しが欠かせません。

棚卸しとは、店舗に残っている食材・飲料などの数量や金額を確認する作業です。

「仕入金額は分かるから棚卸しをしなくても原価率は計算できる」と考えてしまうと、実際の使用量と数字にズレが発生する可能性があります。

先ほどの例のように、100万円分を仕入れても30万円分が在庫として残っていれば、当月に使用した原価を単純に100万円と判断することはできません。

棚卸しによって確認できる主なポイント
  • 食材在庫の金額
  • 過剰在庫の有無
  • 使用量の異常
  • 廃棄・ロスの増加
  • 発注量が適切かどうか
  • 帳簿上の数字と実際の在庫の差

食材価格が頻繁に変動する環境では、原価表を一度作って終わりにするのではなく、実際の仕入価格に合わせて更新することも大切です。

また、店舗数やメニュー数が増えるほど在庫管理や原価計算の作業量も増えます。発注・勤怠・予約・経理などをすべて人の手で管理すると、スタッフや経営者の負担が大きくなることもあります。

食材の「歩留まり」を原価に反映しよう

飲食店の原価計算で見落とされやすいポイントが「歩留まり」です。

歩留まりとは、仕入れた食材のうち実際に料理として使用できる部分がどれくらい残るのかを表す考え方です。

たとえば魚を丸ごと仕入れた場合、頭、骨、内臓、皮などを取り除くことがあります。

1kgの魚を2,000円で仕入れたとしましょう。

仕入重量だけを見ると、

2,000円 ÷ 1,000g = 1gあたり2円

です。

しかし、下処理後に実際に料理へ使用できる部分が600gしか残らなかった場合、

2,000円 ÷ 600g = 1gあたり約3.33円

となります。

仕入時点では1gあたり2円だった食材が、実際に使える部分を基準にすると約3.33円まで上がる計算です。

項目 重量 実質単価
仕入時 1,000g 2円/g
下処理後 600g 約3.33円/g

肉や魚だけでなく、野菜でも皮、芯、根などを大量に廃棄する場合は同じことが起こります。

そのため原価表を作成するときは、単純な仕入単価だけではなく、可能であれば「実際に料理へ使用できる重量」を基準に計算することが重要です。

逆に、これまで捨てていた部位をスープ、ソース、まかない、別メニューなどへ活用できれば、歩留まりを改善できる場合があります。

飲食店の原価率は30%が目安?すべての店に当てはまるわけではない

「飲食店の原価率は30%程度が目安」と聞いたことがある方は多いでしょう。

実際、飲食店の原価管理を説明する際に「30%前後」という数字は一つの目安としてよく使われています。

しかし、30%をすべての飲食店・すべての料理に当てはめる必要はありません。

飲食店といっても、

  • 居酒屋
  • 焼肉店
  • 寿司店
  • ラーメン店
  • カフェ
  • レストラン
  • 弁当店
  • テイクアウト専門店
  • デリバリー専門店

では、食材費、人件費、家賃、客単価、回転率、販売方法が大きく異なります。

さらに同じ店舗の中でも、すべての商品を同じ原価率にする必要はありません。

たとえば……

看板商品は食材にこだわって原価率を高めに設定し、その商品を目的に来店してもらう。

一方で、ドリンクやサイドメニューなど別の商品で粗利を確保する。

このように「店舗全体」で利益を設計する考え方もあります。

したがって、

「原価率30%を超えた=そのメニューは失敗」

と単純に判断するのは適切ではありません。

2026年は「昔の原価率」をそのまま使わないことが重要

現在の飲食店経営で特に注意したいのが、過去に作った原価表を更新せず、そのまま使用し続けることです。

農林水産省は、食品を取り巻く環境について原材料価格に加えて物流費やエネルギーコストなどの上昇を紹介しており、食品事業者が従来と同じ価格・条件で商品を提供することが難しくなっている状況を示しています。

農林水産省の公的情報

農林水産省|フェアプライスプロジェクト

食品の原材料価格、エネルギーコスト、物流費など、食品価格を取り巻く環境について確認できます。

たとえば、以前は1kg1,000円だった食材が1,200円になれば、その食材を使うメニューの原価率も当然変わります。

にもかかわらず古い原価表を使い続けていると、帳簿上では利益が出ているように見えても、実際には十分な粗利を確保できていない可能性があります。

そこで、

  1. 仕入価格の変化を確認する
  2. 原価表を更新する
  3. 現在の原価率を再計算する
  4. 商品ごとの粗利を確認する
  5. 必要に応じて価格・量・仕入先・メニュー構成を見直す

という流れを定期的に行うことが重要です。

原価だけでなく税務・経理コストも確認しておこう

飲食店の利益を正確に把握するには、食材原価だけではなく、税務・経理面についても理解しておく必要があります。

とくに2023年10月1日に開始されたインボイス制度は、仕入税額控除や請求書・領収書の取り扱いなど、飲食店の経理実務にも関係します。

国税庁はインボイス制度を、複数税率に対応して事業者が消費税を正確に納めるための制度として案内しています。

また、2026年現在は制度開始当初から状況が変化している部分もあるため、過去の記事や古い情報だけで判断せず、国税庁の最新情報を確認することが重要です。

ここまでのポイント

飲食店の原価率は「食材費÷売価」だけで終わるものではありません。

店舗全体で利益を管理するためには、棚卸し・歩留まり・粗利・実際の仕入価格まで確認することが重要です。

そして、原価率を改善するには「なぜ自店の原価率が高くなっているのか」を特定しなければなりません。

なぜ原価率が高くなる?原因を特定して「利益が残るメニュー構成」へ

原価率を改善するには、単純に安い食材へ変更するのではなく、原価が上昇している原因を見つけ、粗利・人件費・食品ロス・販売数まで含めて改善することが重要です。

飲食店における原価率の意味や基本的な計算方法、棚卸し、歩留まり、そして「原価率30%」という数字を絶対的な基準として考えるべきではない理由を解説しました。

では、実際に自店の原価率を計算してみたところ、「思っていたより高かった」という場合には何を見直せばよいのでしょうか。

原価率が高くなる背景には、食材価格の上昇だけでなく、販売価格、食品ロス、盛り付け量、発注量、歩留まり、メニュー構成など、さまざまな原因があります。

原因を特定せず、「とにかく安い食材へ変更しよう」と考えてしまうと、料理の品質を落とし、顧客満足度まで低下させる可能性があります。

そこで中盤では、飲食店の原価率が高くなる代表的な原因と、利益を判断するときに知っておきたい粗利・FL比率・メニューミックスの考え方を詳しく見ていきます。

飲食店の原価率が高くなる7つの原因

原価率が想定より高くなっている場合、まずは「どこに問題があるのか」を確認しましょう。

代表的な原因として、次の7つが挙げられます。

  1. 食材の仕入価格が上昇している
  2. 販売価格が低すぎる
  3. 食品ロス・廃棄が多い
  4. オーバーポーションが発生している
  5. 歩留まりを考慮していない
  6. 仕入量・在庫量が適正ではない
  7. 原価率の高いメニューに注文が集中している

① 食材の仕入価格が上昇している

もっとも分かりやすい原因は、食材そのものの仕入価格が上昇しているケースです。

たとえば販売価格1,000円、食材原価300円だった料理を考えてみましょう。

これまでの原価率は、

300円 ÷ 1,000円 × 100 = 30%

でした。

ところが食材価格が上昇し、同じ料理を作るための原価が360円になれば、

360円 ÷ 1,000円 × 100 = 36%

となります。

料理の内容も販売価格も変えていないのに、原価率は6ポイント上昇する計算です。

原価表を作成した当時の仕入価格を使い続けている店舗では、この変化に気づかないケースがあります。

そのため、主要食材については納品書や請求書を定期的に確認し、仕入価格に大きな変動があった場合には原価表も更新しましょう。

② 販売価格が低すぎる

仕入価格だけではなく、販売価格が低すぎることで原価率が上昇している場合もあります。

とくに開業時や新メニュー導入時に、

  • 競合より安くしたい
  • お客様に高いと思われたくない
  • 昔から同じ値段だから変更しにくい
  • 値上げすると客数が減りそうで怖い

といった理由から販売価格を据え置いている店舗は注意が必要です。

仕入価格、人件費、光熱費、包装資材費などが変わっているにもかかわらず売価だけを固定すると、徐々に利益が圧迫されます。

重要
「値上げをしないこと」が必ずしもお客様のためになるとは限りません。必要な利益を確保できず料理の品質やサービスを維持できなくなれば、結果として店舗の魅力が低下する可能性があります。

価格を変更するときは、単純な値上げだけでなく、商品の内容量、セット内容、付加価値、メニュー構成なども一緒に見直すとよいでしょう。

③ 食品ロス・廃棄が多い

原価率を悪化させる大きな要因のひとつが、食品ロスです。

食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず廃棄される食品を指します。

農林水産省が2026年6月に公表した2024年度推計では、日本全体の食品ロス量は約461万トンでした。

このうち事業系食品ロスは約237万トンで、外食産業から発生した食品ロスは約70万トン、事業系全体の30%を占めています。

農林水産省|2024年度食品ロス推計

  • 日本全体:約461万トン
  • 事業系:約237万トン
  • 外食産業:約70万トン
  • 事業系食品ロスに占める外食産業:約30%
農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」

飲食店で発生するロスには、たとえば次のようなものがあります。

  • 発注しすぎて使用期限を迎えた食材
  • 仕込みすぎて売れ残った料理
  • 作り間違えた料理
  • お客様の食べ残し
  • 必要以上に切り落としている部分
  • 保存状態が悪く使用できなくなった食材

これらは販売できなかったとしても、店舗側はすでに仕入代金を支払っています。

つまり、食品ロスを減らすことは環境対策であるだけでなく、店舗の実質的な原価を改善する取り組みでもあります。

食品ロスは「金額」で記録しよう

「今日は鶏肉を少し捨てた」だけでは改善につながりにくいため、「鶏肉500円分」「ご飯300円分」「作り間違い1,200円分」のように、可能であれば廃棄金額まで記録すると原因が見えやすくなります。

たとえば1日2,000円の廃棄が発生すれば、30日営業する店舗では単純計算で月6万円になります。

年間なら72万円です。

小さなロスに見えても積み重なると大きな金額になるため、廃棄理由を分類して記録することが大切です。

公的情報

農林水産省|外食における食品ロス対策

農林水産省では、外食産業における食品ロス削減や食べ残しへの取り組みについて情報を公開しています。

④ オーバーポーションが発生している

飲食店で意外と大きな原価差につながるのが、オーバーポーションです。

ポーションとは、1皿の料理に使用する食材量や提供量を指します。

たとえば1食につき100g使用する予定の肉を、スタッフによって110g、120gと盛り付けていた場合、原価表で想定した原価と実際の原価が一致しなくなります。

仮に1食150円分を使用する予定の食材が、オーバーポーションによって165円分使われていたとしましょう。

1食あたりではわずか15円の差です。

しかし、そのメニューが月2,000食売れる場合、

15円 × 2,000食 = 月30,000円

となります。

年間では36万円です。

このように原価管理では、1皿あたり数円~数十円のズレを軽視できません。

改善するには、

  • レシピを数値化する
  • 肉や魚を重量で管理する
  • 専用レードルやディッシャーを使用する
  • 盛り付け写真を用意する
  • 新人スタッフにも同じ基準を共有する

といった方法があります。

標準レシピを作ることは、原価管理だけでなく、料理の味やボリュームを安定させる意味でも重要です。

⑤ 歩留まりを考慮していない

前半で解説した通り、仕入れた食材が100%料理として使えるとは限りません。

たとえば魚や肉の筋・骨、野菜の皮・芯など、調理工程で取り除く部分があります。

そのため、

仕入単価だけで原価を計算しない

ことが重要です。

とくに鮮魚、塊肉、丸鶏、葉物野菜などを店内で加工する店舗では、歩留まりを計算することで実際の食材原価が見えやすくなります。

一方、取り除いた部分をスープ、出汁、ソースなどへ利用できれば、食材全体から生み出す売上を増やせる可能性もあります。

⑥ 仕入量・在庫量が適正ではない

「まとめて仕入れれば単価が安くなる」という理由だけで、大量仕入れを行っていないでしょうか。

確かに大量発注によって仕入単価が下がる場合があります。

しかし、使い切れずに廃棄してしまえば、結果として原価削減にはなりません。

たとえば通常10kgで10,000円の食材を、大量発注なら12kgで10,800円で購入できるとします。

1kg当たりの単価は安くなりますが、2kgを使い切れず廃棄すれば、単価の安さを十分に生かせません。

そのため仕入量は、

  • 曜日別の販売数
  • 天候
  • 予約件数
  • 季節変動
  • イベント
  • 過去の販売データ
  • 食材の保存期間

などを参考に調整することが重要です。

「安く仕入れる」だけではなく、必要な量を必要なタイミングで仕入れるという考え方を持ちましょう。

▼ 発注・経理・予約などの管理負担も見直したい方

飲食店の業務効率化サービスおすすめ5選|人手不足・経理負担を解決する方法

人手不足への対応や日々の管理業務を効率化したい飲食店向けに、業務効率化の考え方やサービスを紹介しています。

⑦ 原価率の高いメニューに注文が集中している

それぞれの商品原価率に問題がなくても、「何が何個売れたか」によって店舗全体の原価率は変化します。

ここは非常に重要なポイントです。

たとえば、次の2商品があるとします。

商品 販売価格 原価 原価率
商品A 1,000円 250円 25%
商品B 1,000円 450円 45%

商品Aと商品Bを同じ数だけ販売すれば、平均的な原価率は30%台に収まります。

しかし実際には、原価率45%の商品Bばかり注文されることもあります。

この場合、それぞれのレシピ原価に問題がなくても、店舗全体の原価率は上昇します。

そのため原価管理では、商品別原価率だけでなく、販売数量を掛け合わせた「売上構成」を見る必要があります。

原価率が高い料理=悪い料理ではない!「粗利額」を確認しよう

ここまで読むと、「原価率が高い商品はメニューから外したほうがいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、原価率だけで商品の良し悪しを判断するのはおすすめできません。

なぜなら、経営では「率」だけでなく「いくら利益を生み出しているか」も重要だからです。

次の2商品を比較してみましょう。

項目 商品A 商品B
販売価格 500円 2,000円
食材原価 100円 800円
原価率 20% 40%
粗利額 400円 1,200円

原価率だけを見ると、商品Aの20%の方が優秀に見えます。

しかし、1個販売したときに残る粗利は、

  • 商品A:400円
  • 商品B:1,200円

となり、商品Bの方が800円多くなります。

原価率が低い = 必ず利益が大きい

ではありません。

もちろん、粗利から人件費や家賃などを支払う必要があるため、粗利額だけですべてを判断できるわけではありません。

それでもメニュー分析をするときには、

  • 原価率
  • 粗利額
  • 販売数量
  • 客単価への貢献

をセットで確認すると、より正確に商品の役割を判断できます。

飲食店では原価率だけでなく「FL比率」も確認しよう

飲食店の利益構造を考えるうえで、もうひとつ知っておきたい指標がFL比率です。

FLとは、

F

Food

食材費

L

Labor

人件費

を意味します。

計算式は次の通りです。

FL比率 =(食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100

たとえば月商300万円の店舗で、

  • 食材費:90万円
  • 人件費:90万円

だった場合、

(90万円+90万円)÷300万円×100=60%

となります。

原価率だけなら30%ですが、人件費を含めれば売上の60%を占めています。

さらにここから、

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 広告費
  • POS・予約システム利用料
  • キャッシュレス決済関連費用
  • 消耗品費
  • 修繕費
  • 各種税金

などが必要になります。

つまり、「食材原価率だけを下げれば飲食店の利益が改善する」とは限らないのです。

注意
FL比率にも「この数字なら絶対安全」という万能な基準はありません。業態、立地、客単価、営業時間、正社員・アルバイト比率などによって適正なコスト構造は異なります。自店の過去実績や利益計画と比較して判断しましょう。

▼ 原価だけでなく経理・税務負担も整理しておこう

【2026年最新】インボイス制度が飲食店に与える影響とは?手書き領収書・レシート・1,000万円以下の対応を解説

飲食店経営では、原価管理だけでなく請求書・領収書・仕入税額控除などの経理実務についても把握しておくことが大切です。

原価率40%は高すぎる?数字だけで判断しないことが大切

「原価率を計算したら40%だった。これは高すぎるのでは?」という疑問を持つ飲食店経営者もいるでしょう。

確かに、原価率40%は30%と比較すると高い数字です。

しかし、40%だから必ず赤字になるわけではありません。

先ほど解説した通り、

  • 販売価格
  • 1品当たり粗利額
  • 販売数量
  • 他商品の原価率
  • 人件費
  • 家賃
  • 客席回転率
  • 客単価

などによって店舗全体の利益は変化します。

たとえば看板商品だけ原価率40%に設定し、その商品をきっかけに来店したお客様がドリンクやサイドメニューも注文するのであれば、店舗全体では十分な利益を確保できる可能性があります。

反対に原価率20%の商品でも、ほとんど注文されなければ店舗の利益には大きく貢献しません。

原価率40%の商品を見るときのチェックポイント

  • 粗利額はいくら残っているか
  • その商品は何食売れているか
  • 集客商品として機能しているか
  • ドリンク・サイドメニューと一緒に注文されているか
  • 廃棄の少ない商品か
  • 他店との差別化につながっているか

店舗全体の原価率は「メニューミックス」で考える

すべての商品を同じ原価率に合わせるのではなく、メニューごとの役割を考えて店舗全体で利益を設計する考え方を、ここではメニューミックスとして解説します。

たとえば、メニューを次のような役割に分けて考える方法があります。

役割 特徴 考え方
集客商品 目玉・看板商品 原価率が多少高くても来店理由をつくる
主力商品 販売数が多い商品 原価率・粗利・販売数のバランスを重視
利益商品 ドリンク・サイド等 店舗全体の粗利確保に貢献させる
見直し商品 販売数も粗利も低い商品 価格・内容変更や終売を検討する

ここで重要なのは、

「すべてのメニューを原価率30%にする」

のではなく、

「店舗全体で利益を確保する」

という考え方です。

たとえば原価率40%の肉料理が人気で、客単価を上げる役割を果たしているのであれば、無理に原価率30%へ下げる必要がないケースもあります。

一方、原価率20%でもほとんど注文されず、仕込みの手間や食材廃棄まで発生する商品なら、メニューから外したほうが経営効率が改善する可能性があります。

セット販売で1注文全体の粗利を見る

メニューミックスを考えるうえでは、1品単位だけではなく1注文単位で利益を見ることも有効です。

たとえば原価率40%のメイン料理に、比較的原価を抑えやすいドリンクやサイドメニューをセットにすれば、注文全体の原価率を調整できる場合があります。

具体例を見てみましょう。

商品 売価 原価
メイン料理 1,500円 600円
サイド 400円 100円
ドリンク 400円 80円
合計 2,300円 780円

メイン料理単体の原価率は、

600円 ÷ 1,500円 × 100 = 40%

です。

しかし3商品を一緒に注文してもらった場合は、

780円 ÷ 2,300円 × 100 ≒ 約33.9%

となります。

このように商品単体の原価率だけではなく、組み合わせによって注文全体の利益を設計することも可能です。

弁当・テイクアウトは「容器代」まで含めて利益を確認する

店内飲食だけでなく、弁当やテイクアウトを販売している店舗では、食材原価以外のコストにも注意が必要です。

たとえば弁当を1個販売する場合、

  • 弁当容器
  • おしぼり
  • ビニール袋・紙袋
  • ソース・タレ用容器
  • ラベル・シール

などが必要になることがあります。

1個当たりでは小さな金額でも、販売数が増えるほど負担は大きくなります。

そのため弁当やテイクアウトメニューでは、

食材原価 + 容器・包装資材など

まで把握したうえで、販売価格と粗利を確認することが重要です。

▼ 弁当販売を新しい収益源にしたい飲食店はこちら

飲食店が「弁当を始める」前に知っておきたい5つのステップと成功の秘訣

店内営業以外の売上を増やしたい飲食店向けに、弁当販売を始める前に確認したいポイントをまとめています。

デリバリーでは「食材原価率」だけで判断しない

Uber Eatsなどのデリバリープラットフォームや、自社配送で料理を販売する場合も考え方は同じです。

デリバリーでは店内飲食にはないコストが発生することがあります。

  • テイクアウト容器
  • 紙袋
  • カトラリー
  • 配送関連費
  • プラットフォーム利用に伴う費用
  • 広告・キャンペーン費
  • 注文管理システム関連費

そのため、店内で1,000円販売して利益が出る商品を、そのまま同じ感覚でデリバリー販売しても、同じ利益が残るとは限りません。

デリバリー向けの商品については、

「原価率は何%か?」

だけでなく

「1注文から最終的にいくら残るのか?」

という視点で考えることが大切です。

「原価率を下げる=安い食材へ変更する」ではない

原価率が高いことが分かると、最初に「もっと安い食材へ変更しよう」と考えてしまいがちです。

しかし、食材の品質は料理の満足度に直結します。

看板商品の肉や魚、野菜などの品質を急に落とせば、常連客が味の変化に気づく可能性もあります。

そのため、原価率を改善するときは、まず料理の価値を大きく下げずに改善できる項目から確認しましょう。

食材の質を落とす前に確認したいこと

  • 廃棄量を減らせないか
  • 仕入量を適正化できないか
  • オーバーポーションがないか
  • 歩留まりを改善できないか
  • 仕入先を比較できないか
  • 売れないメニューを整理できないか
  • 販売価格を見直せないか
  • サイドメニューとのセット販売ができないか
  • 食材を複数メニューで共通利用できないか

たとえば、5%安い食材へ変更することよりも、これまで廃棄していた食材を減らす方が、品質を維持したまま原価を改善できるケースがあります。

また、メニュー数を絞って食材を共通化すれば、発注しやすくなり、在庫管理や仕込み作業の効率化につながる可能性もあります。

▼ 原価改善とあわせて人手不足対策も進める

飲食店の業務効率化サービスおすすめ5選|人手不足・経理負担を解決する方法

原価だけを削減するのではなく、予約・発注・経理など日々の作業を効率化し、店舗全体の生産性を見直すことも重要です。

重要ポイント

  • 原価率上昇の原因は食材価格だけではない
  • 食品ロスやオーバーポーションも実質原価を押し上げる
  • 原価率だけでなく粗利額を見る
  • 食材費+人件費を含むFL比率も確認する
  • 原価率40%でも店舗全体で利益が出る場合がある
  • 商品単体ではなくメニューミックスで利益を設計する
  • 原価率改善のために安易に食材の品質を落とさない

原価率が高くなる理由を特定できたら、次はいよいよ具体的な改善へ進みます。

原価率が高いときはどうする?飲食店が実践したい改善策10選

原価率を改善する目的は、単純に食材費を削ることではありません。料理の品質をできるだけ維持しながら、無駄を減らし、店舗全体で利益を確保できる仕組みをつくることが重要です。

ここまで、原価率が高くなる原因や、粗利、FL比率、食品ロス、メニューミックスについて解説してきました。

原価率が想定より高いことが分かった場合、次に必要なのは「どの部分を、どの順番で改善するか」を決めることです。

いきなり主要食材の品質を落としたり、すべての商品を一律に値上げしたりする必要はありません。

まずは廃棄、発注、盛り付け、メニュー構成など、顧客満足度への影響が比較的小さい部分から見直していきましょう。

飲食店の原価率が高いときの改善方法10選

  1. 仕入先・仕入価格を見直す
  2. 発注量と在庫量を適正化する
  3. 食品ロスを記録する
  4. 定期的に棚卸しを行う
  5. レシピとポーションを標準化する
  6. 食材の歩留まりを改善する
  7. 販売価格を見直す
  8. 利益商品とのセット販売を考える
  9. 売れないメニューを整理する
  10. POSデータなどを活用して商品別に分析する

① 仕入先・仕入価格を見直す

原価改善の基本となるのが、仕入価格の見直しです。

同じ食材を長年同じ業者から仕入れている場合でも、現在の価格が本当に適正なのか定期的に確認しましょう。

ただし、「もっと安い業者へ変更する」ことだけが改善ではありません。

確認したいポイントには、

  • 仕入価格
  • 品質
  • 最低発注量
  • 配送頻度
  • 欠品の少なさ
  • 支払条件
  • 発注のしやすさ
  • 小分け対応の有無

などがあります。

たとえば単価が5%安くても最低発注量が多く、使い切れない食材を大量に廃棄するのであれば、結果的には高くつく可能性があります。

POINT
仕入価格だけではなく、「実際に使い切れる量」「歩留まり」「廃棄まで含めた実質原価」で比較しましょう。

② 発注量と在庫量を適正化する

食材を安く買うことと同じくらい重要なのが、必要以上に仕入れないことです。

飲食店では「足りなくなるのが怖い」という理由から、多めに仕入れることがあります。

しかし、過剰在庫は、

  • 鮮度低下
  • 賞味期限・消費期限切れ
  • 冷蔵庫・冷凍庫の圧迫
  • 先入れ先出しの管理負担
  • 食品ロス増加

につながる可能性があります。

曜日ごとの平均販売数を集計し、

発注時に確認したいデータ

  • 曜日別販売数
  • 時間帯別販売数
  • 予約数
  • 過去の天候と販売実績
  • 季節イベント
  • 食材の残在庫
  • 仕込み済み商品の残量

などを参考に、勘だけに頼らない発注へ切り替えることが大切です。

③ 食品ロスを「量」ではなく「金額」で記録する

中盤でも触れた通り、食品ロスは原価率を押し上げる大きな原因です。

農林水産省が2026年6月30日に公表した2024年度推計によると、事業系食品ロスは237万トンで、このうち外食産業は70万トンを占めています。

農林水産省|2024年度の事業系食品ロス

  • 事業系食品ロス:237万トン
  • 食品製造業:110万トン
  • 食品卸売業:9万トン
  • 食品小売業:48万トン
  • 外食産業:70万トン
農林水産省|事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表

農林水産省では、事業系食品ロスについて2030年度までに2000年度比60%削減する新たな目標を設定しています。

飲食店側でも、毎日の廃棄を記録することから始めましょう。

おすすめなのは「何kg捨てたか」だけでなく、いくら分捨てたのかまで記録する方法です。

廃棄内容 原因 金額例 改善方法
鶏肉 発注過多 1,200円 発注数量を見直す
ご飯 炊飯量過多 500円 時間帯別炊飯へ変更
完成料理 注文ミス 1,000円 注文確認手順を改善

このように廃棄理由まで記録すると、「発注」「仕込み」「注文ミス」など、どこを改善すべきか判断しやすくなります。

④ 定期的に棚卸しを行う

原価率を正確に把握するには、棚卸しが欠かせません。

仕入金額だけを見ていても、店舗に残っている在庫が把握できなければ、実際にその月に使用した原価を正確に計算できません。

棚卸しを行うことで、

  • 過剰在庫
  • 使用量の異常
  • 発注漏れ
  • 廃棄増加
  • 長期滞留在庫

などにも気づきやすくなります。

月1回だけでなく、価格が高い食材や使用量の多い食材については、週単位で在庫を確認する方法もあります。

▼ 発注・在庫・経理などの管理業務を効率化したい方

飲食店の業務効率化サービスおすすめ5選|人手不足・経理負担を解決する方法

⑤ レシピとポーションを標準化する

調理スタッフによって使用量が変わる店舗では、想定原価と実際の原価がズレやすくなります。

「適量」「少々」「ひとつかみ」といった感覚的な表現だけでは、人によって量が異なるためです。

そこで、

  • 肉は〇g
  • ソースは〇ml
  • 野菜は〇g
  • ご飯は〇g
  • チーズは〇g

という形でレシピを数値化します。

盛り付け写真や完成重量も共有すると、新人スタッフでも基準を理解しやすくなります。

レシピ標準化のメリット
原価率の安定だけでなく、味・量・見た目のばらつきを抑えられるため、料理品質の安定にもつながります。

⑥ 食材の歩留まりを改善する

食材原価を改善するには、仕入価格を下げるだけでなく、購入した食材をできるだけ有効活用することも重要です。

たとえば、

  • 野菜の端材をスープに使用する
  • 魚の骨を出汁に活用する
  • 肉の端材を挽肉料理などに利用する
  • 複数メニューで同じ食材を使用する

といった工夫があります。

もちろん、安全性や衛生管理を最優先にしなければなりませんが、これまで廃棄していた食材を有効活用できれば、実質的な歩留まりを高められます。

⑦ 販売価格を見直す

食材価格やその他のコストが上昇しているのに、販売価格だけを何年も据え置いている場合は価格改定も検討しましょう。

ただし、すべての商品を一律100円値上げするような方法が必ずしも最適とは限りません。

商品ごとに、

  • 原価率
  • 粗利額
  • 販売数
  • 競合価格
  • 商品の人気
  • 客単価への影響

を確認したうえで判断します。

価格改定以外の方法も検討する

  • セット内容を変更する
  • サイズを複数用意する
  • オプション商品を追加する
  • 高付加価値メニューを投入する
  • ランチ・ディナーで価格設計を変える

⑧ 利益商品とのセット販売を考える

原価率が高い人気商品を無理に値上げしたり、品質を下げたりする前に、セット販売で注文全体の粗利を改善できないか検討しましょう。

たとえば、

  • メイン+ドリンク
  • メイン+サラダ
  • メイン+デザート
  • 弁当+汁物

などがあります。

原価率が高い看板商品で集客し、比較的粗利を確保しやすい商品と組み合わせることで、店舗全体の利益を設計できます。

⑨ 売れないメニューを整理する

メニュー数が多ければ多いほど、お客様に喜ばれるとは限りません。

注文数が少ない商品のためだけに食材を仕入れていると、

  • 在庫量が増える
  • 仕込み作業が増える
  • 食品ロスが増える
  • 発注管理が複雑になる
  • 調理スタッフの負担が増える

可能性があります。

とくに、

「売れない・粗利も低い・専用食材が必要」

という商品は、メニューから外す候補として検討してもよいでしょう。

逆に、販売数が多く粗利額も高い商品は、メニュー表の目立つ場所へ移動するなど、販売強化を検討できます。

⑩ POSデータなどを活用して商品別に分析する

原価管理を感覚ではなく数字で行うためには、販売データの活用が重要です。

POSレジなどを利用すると、

  • 商品別販売数
  • 曜日別売上
  • 時間帯別売上
  • 客単価
  • 人気メニュー
  • 売れないメニュー

などを確認しやすくなります。

商品別の原価データと販売数量を組み合わせれば、どの商品が店舗利益に貢献しているのか判断しやすくなります。

見るべきなのは「原価率」だけではない

原価率 × 粗利額 × 販売数量を組み合わせて見ることで、メニューの本当の収益性が分かりやすくなります。

【2026年版】原材料高騰時代の飲食店はどう原価管理する?

2026年の飲食店経営では、「以前作った原価表をそのまま使う」方法では十分とはいえません。

食材価格だけでなく、物流費、包装資材費、エネルギーコストなど、さまざまな費用が利益に影響します。

重要なのは、原価が上がってから慌てて対応するのではなく、定期的に数字を確認できる仕組みを作っておくことです。

2026年におすすめしたい原価管理サイクル

  1. 最新の仕入単価を確認する
  2. メニュー原価表を更新する
  3. 商品別原価率を再計算する
  4. 商品別粗利額を確認する
  5. 販売数量を確認する
  6. 食品ロス・廃棄を確認する
  7. 月間原価率・FL比率を確認する
  8. 必要に応じて販売価格・仕入れ・商品構成を見直す

特に価格変動の大きい食材については、半年や1年に1回ではなく、仕入価格が変わったタイミングで原価表を更新するとよいでしょう。

たとえば肉、魚、米、油など、メニュー原価への影響が大きい食材を優先して確認します。

値上げする前に「粗利額」を再計算する

原材料が値上がりすると、すぐに「販売価格も同じ割合で値上げしなければ」と考えがちです。

しかし、値上げ幅を決めるときは、原価率だけではなく粗利額も確認しましょう。

たとえば販売価格1,000円・原価300円だった商品なら粗利額は700円です。

原価が350円に上がれば粗利額は650円になります。

この50円減少が、

  • 販売数量
  • 客単価
  • 店舗全体の利益

にどの程度影響するか確認したうえで価格改定を判断します。

価格改定と同時にメニュー構成を見直す

原材料高騰への対応は、価格だけを変える絶好の機会ではありません。

メニュー全体を見直し、

  • 利益の低い商品を整理する
  • 似た商品を統合する
  • 共通食材を増やす
  • 看板商品を強化する
  • セットメニューを作る

といった改善を同時に行う方法もあります。

メニュー数を整理できれば、食材の共通化によって在庫管理や仕込みを効率化できる場合もあります。

弁当・テイクアウトを始める場合も原価計算を忘れない

店舗売上を増やすために、弁当やテイクアウト販売を検討する飲食店もあります。

ただし、弁当販売では店内飲食と異なるコストが発生するため注意が必要です。

コスト 主な内容
食材費 肉・魚・野菜・米・調味料など
包装資材 弁当容器・蓋・袋・カトラリーなど
人件費 仕込み・盛り付け・梱包
販売関連費 決済・販促・配送等

「店内メニューを容器に入れるだけ」と考えるのではなく、弁当専用の商品原価を計算して価格を設定しましょう。

▼ 弁当販売を始めたい飲食店はこちら

飲食店が「弁当を始める」前に知っておきたい5つのステップと成功の秘訣

弁当販売を始める際の準備や販売方法、失敗を防ぐポイントまで詳しく解説しています。

原価管理と同時に「業務効率」も改善しよう

原価率を1~2%改善しても、スタッフの残業時間が増えたり、発注・経理作業に毎日何時間もかかったりしていれば、店舗全体の利益改善につながらないことがあります。

そのため、

  • 原価管理
  • 人件費管理
  • 発注業務
  • 勤怠管理
  • 予約管理
  • 経理

を別々に考えるのではなく、店舗全体の生産性という視点で見直すことも大切です。

飲食店の原価率とインボイス制度もあわせて確認

飲食店の利益管理では、仕入れ・原価だけでなく税務面も無視できません。

特にインボイス制度では、仕入税額控除や請求書・領収書の保存など、飲食店の日常業務に関係する項目があります。

さらに2026年度税制改正では、インボイス制度に関する経過措置の見直しなどが行われています。

税制は変更される可能性があるため、「以前聞いた内容」だけで判断せず、国税庁などの最新情報を確認することが大切です。

飲食店の原価率に関するよくある質問

Q1.飲食店の原価率30%は本当に適正ですか?

30%はよく紹介される一つの目安ですが、すべての飲食店に共通する絶対的な基準ではありません。

業態や立地、家賃、人件費、客単価、回転率などによって必要な原価率は変わります。

また、看板商品の原価率を高くし、ドリンクやサイドメニューで粗利を確保する方法もあります。

そのため、30%という数字だけではなく、店舗全体の粗利やFL比率を確認して判断しましょう。

Q2.原価率40%は高すぎますか?

40%だから必ず高すぎるとは限りません。

原価率40%でも販売価格が高く、1食当たりの粗利額が十分に確保できている商品もあります。

さらに集客力が高い看板商品であれば、他の商品注文を促す役割を果たしている可能性もあります。

原価率だけではなく、粗利額・販売数・店舗全体の利益を合わせて確認してください。

Q3.原価率が高い料理はメニューから外した方がよいですか?

必ずしも外す必要はありません。

原価率が高くても、

  • 販売数が多い
  • 粗利額が大きい
  • 来店目的になっている
  • 他の商品注文につながっている
  • 店舗のブランドを象徴している

のであれば、残す価値があります。

一方で「原価率が高い・販売数が少ない・仕込み負担が大きい」という商品は、見直しを検討するとよいでしょう。

Q4.原価率はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

最低でも定期的に確認し、主要食材の価格が変わった場合には随時見直すことをおすすめします。

特に、

  • 仕入価格が大きく上昇した
  • メニュー価格を改定した
  • 食材やレシピを変更した
  • 新メニューを追加した

場合は再計算しましょう。

店舗全体の月間原価率については、毎月の棚卸しと合わせて確認すると変化を把握しやすくなります。

Q5.原価率を一番簡単に下げる方法は何ですか?

店舗によって原因が異なるため、「これをすれば必ず下がる」という方法はありません。

ただし、食材の品質に影響を与えにくい方法から始めるなら、

  • 食品ロス削減
  • 過剰発注の改善
  • オーバーポーション防止
  • 棚卸し
  • 売れないメニューの整理

などが取り組みやすいでしょう。

Q6.原価率と利益率は同じですか?

同じではありません。

原価率は売上に対して食材原価などが占める割合です。

一方、店舗には原価以外にも人件費、家賃、水道光熱費、広告費などの費用があります。

そのため原価率が低くても、人件費や家賃が高ければ最終利益が少ない場合があります。

Q7.デリバリーも同じ原価率で考えてよいですか?

食材原価の計算方法は基本的に同じですが、利益計算は別に考えた方がよいでしょう。

デリバリーやテイクアウトでは、

  • 容器
  • 包装資材
  • 配送関連費
  • プラットフォーム関連費用

などが発生する可能性があります。

食材原価率だけではなく、1注文当たり最終的にいくら残るのか確認することが重要です。

まとめ|飲食店の原価率は「30%」だけでなく粗利・FL比率まで確認しよう

飲食店の原価率は、店舗経営を考えるうえで非常に重要な数字です。

基本的な計算方法は、

原価率(%)= 原価 ÷ 販売価格 × 100

です。

しかし、2026年の飲食店経営では「原価率30%にすれば問題ない」という単純な考え方だけでは十分とはいえません。

重要なのは、

  • 最新の仕入価格を確認する
  • 棚卸しを行う
  • 歩留まりを考慮する
  • 食品ロスを金額で把握する
  • 原価率だけでなく粗利額を見る
  • 販売数量を確認する
  • FL比率を確認する
  • メニューミックスで店舗全体の利益を考える
  • 必要に応じて価格・仕入れ・メニュー構成を見直す

ことです。

また、原価率を下げるために安易に食材の品質を落とす必要はありません。

まずは食品ロス、過剰在庫、オーバーポーション、売れないメニューなど、料理の魅力を落とさず改善できる部分から取り組みましょう。

そして、原価率が高い商品でも粗利額が大きく、集客商品として機能しているのであれば、店舗経営にとって重要な商品である可能性があります。

原価管理の最終目的は「原価率を下げること」ではありません

お客様に選ばれる料理・サービスの品質を維持しながら、店舗が継続的に利益を残せる仕組みをつくることが、本当の原価管理です。

食材価格や経営環境が変化するなか、昔作った原価表をそのまま使い続けるのではなく、定期的に数字を見直していきましょう。

関連記事

Related